28歳サラリーマンが通勤の間に日経『春秋』を読んで考えたこと。

どこにでもいそうな28歳サラリーマンが通勤途中に、日経新聞第1面「春秋」を読んで思ったことや考えたことを書き留めました。 特に専門知識があるわけではないので記載している内容は浅いかもしれませんが、どうすれば社会で起こっていることをうまく理解することができるか、そんな社会人の誰もが思ったことがあるであろう事柄を記述できればと思います。

今日の春秋は、個性に乏しく、友人と重なる危険性も高い商品に、消費者が自分の好みのものを最後のひと手間に加えることが流行っているという内容を中心に記述されていた。この冬流行った鍋料理の上に大根おろしでクマやパンダを作ることや購入した服に好みの刺繍を施す衣料品チェーンの登場といったことがその例である。企業と消費者で一緒に物を作る時代の幕開けとも言えるマーケティングについて考えたことを書きたい。

今回の事例で興味深いことは、お客さんが最後のひと手間を加えることで他社製品との差別化が完成するという消費者の存在であろう。これまでのマーケティング理論や一般企業でよく言われることは、企業のみの努力によって他社とは異なる製品を製造することであった。しかしながら、今回は製品自体は他社と同じでもいいが、最後のひと手間を消費者の方に行ってもらうことで差別化が行われるということだ(もちろん消費者にひと手間加えさせるという発想自体は他社と差別化できているが)。実際のところ、消費者が自分個人のために最後のひと手間を加えることに対するバリアは低く、多くの消費者に好まれるのではないだろうか。

3/14の本ブログで、増税後4月以降、企業がどのようにして消費者の購買意欲を高める活動を行うのか楽しみにしている旨を記述した。「消費者の最後のひと手間」もその答えの1つである。これまでの既存のマーケティング活動を見直し、今まで存在してなかった製品やマーケティング活動を新しく展開する企業が1社でも多く存在するよう応援したいと思った。
はてさて、私が勤める企業の4月以降の活動はお客様の心をつかめるであろうか…。 

SATP細胞をめぐる報道が世間をにぎわしている。昨日行われた理化学研究所の記者会見を受け、今朝の春秋でも本件に関して触れられていた。STAP細胞に関する業績はひとまずなかったことにすべきであろうことと、それでももし今回の発見が真実ならばそうであってほしいと願う気持ちが書かれている。また同時に、生命科学者の中村洋子さんの著書「科学者が人間であること」を通して、一連の騒動が人間であることの弱さを表しているのではないかとも述べている。

個人的には、小保方さんが他者の論文や写真をそのままコピーしていたことやその理由に関する回答に残念な想いを抱いた感は否めない。しかしながら私のなかでは、若手の、しかも女性の研究者の活躍を応援したい気持ちの方が大きい。もちろん小保方さんが行ってしまったことは研究者として認められない部分が大きいが、今回の一連の報道をめぐって感じたことを書きたい。

マスコミの報道をめぐって今回感じたことは、小保方さんを持ち上げるだけ持ち上げておいて、不備が発覚したとたんに過剰ともいえる彼女への批判を書きなぐるという身勝手さであった。その論調には悪意さえ感じ取れるものもあった。 
世間から注目を浴びる見出しなり内容にしなければ、販売部数も伸びないであろうし他社に出し抜かれてしまうという現実があるのはわかる。しかしながら、今回の件に限らず、マスコミの報道には当事者を過剰なまでに毀損しているのではないかと思われることが多々ある。今回の報道で小保方さんは研究者として再起する道を絶たれるかもしれないし、下手をすれば精神を病み自殺に追い込む可能性だってある。当事者を陥れるような報道ではなく、正当な批判を行うことのできる報道となることを私としては願っている。 

今日の春秋は、江戸の昔から行われていた浅草寺周辺の商人たちの企画力について書かれていた。墨田川の水を使ったお酒のメッセージ性や現在の歯ブラシにあたる「ふさようじ」店の看板娘(アイドル)戦法、夏のほおずき市や師走の羽子板市など多彩なイベントといった商人たちが物を売り、町を潤した例が挙げられている。よく考えれば当たり前のことなのだが、店や企業が商品開発やマーケティングにさらに知恵を絞るということは昔からあったことに新鮮味を覚えた。

そんな江戸時代の浅草寺における情景を思い浮かべながら、4月から始まる消費増税を前にした現在の小売店の様子やマーケティング方法について考えてみた。増税前の需要をかきいれようとしていることが顕著なのが、スーパーマーケットなどの小売店ではないだろうか。店頭ではティッシュやトイレットペーパー、おむつやお酒などまとめ買いを謳い、商品がうずたかく積まれている 。販促物には、「増税」やら「8%」、「急げ!」など消費者をあおるメッセージが書き込まれている。これらも消費増税を利用した「イベント」の一種かもしれないが、自分たちで独自のイベントを企画し集客していた江戸時代の商人よりは少々考えるレベルが劣るように感じられた。個人的には需要が3月よりは確実に落ち込むであろう4月に、どのようにして消費者の購買意欲を高めようと企業がしているのかが表れた来月の店頭の様子も楽しみである。

また、消費者としても賢い買い物ができるようにならなければと小売店の様子を見ていて思った。現在は焦燥感に訴えた方法で消費者の消費を促し、あたかも今こそ商品が安くて買いであるように見えるかもしれない。しかしながら、消費税5%時のまとめ買いと消費税8%になった後のセールではどちらが実は安くなるのだろうかとも考えた。仮に後者の方が安く物を買えるのであれば、何も今焦って商品を買い占めなくても良いではないか。企業の宣伝文句に踊らされず、しっかりと状況を考えられる消費者にならなければならない。

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